施設のご案内

鉄水鉢臺石梵鐘漱石と本法寺四季の花木

臺座の上にあった鉄製の天水受けは、戦争時の供出のため失われた。

●几号水準点
墓参の折立ち寄る、玄関横の「尾」という字のついた大きな石、この臺石の左側面に、一見、漢字の「不」という字に似たしるしが刻まれていますが、これが几号(きごう)水準点と呼ばれているものです。


几号水準点の詳細:測量標石研究家:上西勝也氏
「これは明治の初め、首都の地図作成や都市部の道路、水道のインフラ整備のため測量に利用されたもので、都内には公式記録に残っているものだけでも73ヶ所あり、そのうち当寺も一拠点として選定され、お雇い英国人技術者の指導により、東京湾水位を基準とした標高が測定されました。当時の内務省布達では独立した標石や石灯籠や鳥居などの永久構築物にも彫刻して水準点としたものです。東京以外にも設置されましたが全国で現存が確認できるのは100ヶ所程度です。」
監修 測量標石研究家:上西勝也氏のサイト

●鉄水鉢臺石
もともとこの臺石は、本堂前に一対で安置されて、緊急の火災に備える天水受けが置かれていたと代々聞いています。現在の場所に移動したのは、おそらく東京オリンピックの頃のことではないかと思います。

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●梵鐘のスペック
・宝永七年(1710)二月二十九日鋳造
・総高百五十七センチメートル
・鋳工 中村喜兵衛門 藤原真僖
(江戸東京梵鐘銘文集日本古鐘研究会 編より)

●梵鐘の説明
昭和十七年五月九日は太平洋戦争時のこと国の金属回収令により、当寺の梵鐘も供出され、戦後羽田に野ざらしになっていたところを発見、帰山した。

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当寺は、夏目漱石ゆかりの寺としても知られています。夏目家累代の菩提寺であるとともに、漱石の作品には、当寺がモデルであるかと思われる「養源寺」が登場します。

「おやぢの葬式の時に、小日向の養源寺の座敷にかゝってた懸物は此の顔によく似て居る。坊主に聞いて見たら韋駄天(いだてん)と云ふ怪物ださうだ。」
『坊っちゃん』(1993年版)より

●梅の花 不肖なれども 梅の花
漱石、数え年15の時に体験した実母との死別は、その後の人生観に深い影響を与えたと想像されます。明治29年墓参の折に「梅の花 不肖なれども 梅の花」と詠み、「展先妣墓」 と前書きを付けました。これは、母の墓に詣でたとの意味です。この碑の前に佇むと、漱石の亡き母を慕う気持ちが、時を越えて身近に感じられます。  夏目家のお墓には漱石の実父母、早世した長兄次兄と夏目家のお墓を継承することになった漱石のすぐ上の三兄などの近親の方々が、眠っておられます。

●兄の死を悼んだ英文のスピーチ
漱石が敬愛した長兄の大介の死から二年後の明治22年 2月5日、漱石は第一高等中学校の英語会で兄の死を偲ぶスピーチを行ないました。そのスピーチの一部を『漱石全集』第26巻 (1993年版)山内久明氏訳でご紹介します。  『兄の墓参りをしたのは、先月1月のことである。冬は寒々と枯れ果て、自然の魅力はことごとく失われていた。…(中略)… 墓石に跪き、お念仏を唱え、変わらざる仏の大恩と、人の身の儚(はかな)さをしみじみと肝に銘じつつ、子どものように泣き始めた。 …(中略)… 「嗚呼(ああ)、しかし樹の下に眠る兄が、永遠の眠りから蘇ることはない。兄は永遠の眠りのなかで、私について夢を見てくれるかもしれない。ここでこうして空しく、私が兄について夢見るように、愛こそは以心伝心、心は通い合うものなのだ。」そう私は思った。』

●蓮如の「御ふみ」の言葉
明治23年8月9日、漱石は、牛込区喜久井町1番地より、松山の病床の正岡子規へ手紙を出しています。その一部を漱石全集第十四巻(岩波書店 昭和41年12月24日発行)よりご紹介します。
bouzu『・・・(中略)、御文様の文句ではなけれど二ッの目永く閉ぢ一つの息永く絶ゆるときは君臣もなく父子もなく道徳も権利も義務もやかましい者は滅茶ゝにて眞の空ゝ眞の寂ゝに相成べく夫を樂しみにしながらへ居候棺を蓋へば萬時休すわが白骨の鍬の先に引きかゝる時分には誰か夏目漱石の生時を知らんや穴彼賢』

源平桃

●紅白の花が咲き乱れる源平桃

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genpei_2紅・白・ピンクの花を見事に咲かせる本法寺の源平桃。
ハナモモ(花桃)の一品種で「紅白咲分けの桃」と呼ばれるように、一本の木から紅と白とピンクの花びらが一度に咲きます。
ピークは毎年4月の初めの頃。幾重にも重なった3色の花びらが、春の本法寺を彩ります。

北山杉

●芽吹きが美しい北山杉

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川端康成の小説「古都」の舞台ともなった、京都北山。

花菖蒲

●大輪の風格 花菖蒲

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楓の紅葉

●楓の紅葉、秋草のたわむれ

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・金華山薄(キンカザンススキ)
・秋の麒麟草(アキノキリンソウ)
・白花藤袴(シロバナフジバカマ)
・石蕗(ツワブキ)
・笹竜胆(ササリンドウ)
・沼虎の尾(ヌマトラノオ)

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夏の暑さも過ぎ去り、庭に足の長くなった陽光が射すといよいよ秋の到来です。
庭全体から緑の鮮やかさが薄れていき、くすみを帯びていきます。楓の紅葉や虫の声、風になびくススキの葉。
この季節の主役たちが本法寺を秋色に染めていきます。